「アミノ酸シャンプー」とは何ですか?(呼称の問題)

アミノ酸シャンプー「アロマのやさしさ」

アミノ酸シャンプー」とは何でしょうか?


実は、「アミノ酸シャンプー」という言葉には、はっきりとした定義はありません。


食品の場合は、名称の定義が法的にはっきりと決められているものがあります。例えば「マヨネーズ」という名称を使用する場合、その商品に使用しなければいけない原料、使用してはいけない原料が明確に日本農林規格(JAS)で定められています。(基準を満たさない類似商品は「マヨネーズ風味ドレッシング」などの呼称を使わなければいけません。)


シャンプーを含む化粧品類の場合、食品とは異なり使用される「成分」については数々の厳格な決まりが薬事法で定められていますが、商品の種類を分類する呼称については、特に決まりがない場合がほとんどです。現在のところ、どんな成分をどの程度含んだものを「アミノ酸シャンプー」と呼んで良いかということについては、明確な決まりはありません。(「化粧水」「乳液」「美容液」の違いがはっきり決まっておらず、区分けは各メーカーに任されているのと同じことです。)


つまり、シャンプーを作っている会社が「うちのシャンプーはアミノ酸シャンプーです」と言えば、その商品は「アミノ酸シャンプー」になるわけです。


アミノ酸シャンプー アロマのやさしさ 開発物語」でもご説明の通り、こうした事情があるため、市販のシャンプーの中には、ほんの少しアミノ酸系の成分を加えただけで「アミノ酸シャンプーです」と謳っているものが数多く存在します。化粧品には全成分表示が義務付けられていますが、一般の消費者は化粧品の成分名を見て、それがどのようなものか判断できないのが通常ですから、これは困った状況だと言えます。


もちろん「アミノ酸系成分」が全く入っていないのに「アミノ酸シャンプーです」と謳って販売すると「不正競争防止法」という薬事法とは異なる法律に抵触してしまいますので(虚偽表示)、通常どの「アミノ酸シャンプー」にも多少は「アミノ酸系成分」が配合されています。ところが「アミノ酸系洗浄成分」は他の洗浄成分に比べて原価が高く、また「良い使用感」を出すのが大変難しいため、硫酸系(ラウリル硫酸など)、スルホン酸系(オレフィン・スルホン酸)等の成分と一緒に配合されるケースが非常に多いのが実情です。中には、洗浄成分のほとんどを硫酸系・スルホン酸系成分にして、ほんの数パーセントのみ「アミノ酸系成分」を配合しただけで「アミノ酸シャンプー」と謳っている例も数多くあります。


当然ながら、硫酸系・スルホン酸系成分が配合されたシャンプーは、強い「脱脂力」と「タンパク質変成作用」を備えたものになります。「脱脂力」の強い成分は、シャンプーの際に頭皮の健康に欠かせない保湿因子(NMFやセラミド)を強力に溶かして洗い流します。「タンパク質変成作用」は、その名の通りタンパク質を破壊する働きです。特にすすぎ残って頭皮にとどまった成分がこの作用を発揮し、細胞のタンパク質を少しずつ壊していってしまいます。このような特性をもったシャンプーに、ほんの少し「アミノ酸系成分」を加えたところで頭皮の健康に役立つ「アミノ酸シャンプー」にならないことは容易に理解できる話です。


もし「アミノ酸シャンプー」という言葉に「シャンプー全体の○○%以上をアミノ酸系成分で構成したもの」とか「アミノ酸系洗浄成分を○○%以上含み、且つ硫酸系・スルホン酸系成分を使用していないもの」といった明確な定義ができれば、現在市販されている「アミノ酸シャンプー」の多くは姿を消すことでしょう。



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