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エッセンシャルオイル(精油)は絶対に飲んではいけません。このことは、このHP内や商品に同封している注意書きなどで繰り返しご説明している通りです。近代アロマテラピーが発祥したフランスでは、精油を内服したり、直腸などの粘膜に投与して、その薬理作用を得ることが医師による医療行為として行われることがありますが、これは一般の人が真似していいことでは決してありません。これは絶対に守っていただくという前提で以下はお読みください。このページでは、精油を口に入れてしまった場合、実際にどの程度の危険があるのかについて少し詳しくご説明します。精油の危険性についてより深い知識を持っていれば、自分の行うアロマテラピーの安全性により一層の自信を持っていただけると思います。

「精油には経口毒性があり、飲むと最悪の場合死に至ります。」少し精油について勉強された方なら、恐らく聞いたことがあると思いますが、これは事実です。では、どの程度の量を飲むと命に危険が及ぶのでしょうか?経口毒性の強さを表す値としてLD50(半数致死量)というものがあります。LD50とはLimited Death 50の略で、その物質を動物に飲ませた場合、50%の動物が死亡すると想定される量のことで、体重1kgあたりの数値として示されます。体重1kgあたりの値として示されるのは、動物は体重が軽いほど少ない量の毒物で死に至るためです。簡単に言うと、体重30kgの子どもは体重60kgの大人に比べると、半分の量で死亡するということになります。

いくつかの精油のLD50の値と、それを元に計算した子ども(体重15kg)と大人(体重60kg)の半数致死量の例を以下にいくつかあげてみます。


エッセンシャルオイル(精油)のLD50値
LD50
(体重1kg辺り)
体重15kgの
子どもの場合
体重60kgの
大人の場合
ベルガモット 10.00g 167ml
(約17本)
668ml
(約67本)
カモミール・ローマン 8.56g 143ml
(約14本)
572ml
(約57本)
ラベンダー 5.00g 83ml
(約8本)
332ml
(約33本)
ユーカリ 4.44g 74ml
(約7本)
296ml
(約30本)
ティートゥリー 1.90g 32ml
(約3本)
128ml
(約13本)
バジル 1.40g 23ml
(約2本)
92ml
(約9本)
(※本数は、1本を10mlとして計算した場合。)


この中で一番毒性の低いベルガモットは、体重60kgの人の場合、10mlボトル約67本、毒性の強いバジルは、約9本が半数致死量ということになります。LD50を元にした数値は「致死量」という日本語に訳されることが多いのですが、「致死量」と言ってしまうと、この量以下であれば、死ぬことはないという誤解を生みがちです。LD50はあくまで、飲んだ人の半数が死亡すると想定される「半数致死量」です。病気で体力が弱っていたり、肝臓の代謝機能が衰えている人は、LD50値よりも少ない量でも死亡します。逆に体力のある人は、この量より多く飲んでも、助かる場合もあります。

ほとんどの精油は口に含むと、不快な味や強い刺激がしますので、大人の場合は、危険な量を飲むのは困難ですが、最も怖いのは幼児の誤飲です。近年、一般向けに市販されているほとんどの精油にはドロッパー(精油を一滴づつ落とす機能を果たすもの)が付いていますが、ドロッパーが使われていなかった時代には、幼児が誤って1本分の精油を一気に飲んでしまう事故があったようです。精油の瓶についているドロッパーや中栓には、こうした事故を防ぐという機能があり、ドロッパー付きの精油が一般的になってからは、誤飲事故はあまり起きなくなりました。ただし、現在でも、プロ仕様のものなどには、利便性からドロッパーや中栓が付いていないこともありますので、注意が必要です。ドロッパーが付いていてもいなくても、必ずエッセンシャルオイル(精油)は子どもの手の届かないところに保管しなければいけません。

精油を口にすると命に危険が及ぶという情報を聞いたお客様から「家の床の掃除にティートゥリーユーカリを使いたいのですが、赤ちゃんがハイハイして床を舐めてしまっても大丈夫でしょうか?」というご質問を頂くことがあります。仮に拭き掃除に10滴の精油を使ったとしても、その総量は0.5ml程度(精油は1滴0.05mlです)です。通常はこれを1%程度の濃度に水で薄めて、床にスプレーなどで散布して水拭き掃除に使ったりしますが、その後に赤ちゃんが床を一生懸命舐め回したとしても、舐め取ることができるのは、0.5mlのうち100分の1にも届かないでしょう。上記のLD50の値と比べていただければ、心配が必要なことでは全くないことがよくご理解いただけると思います。同じように家庭で床に向かって噴霧することのある殺虫剤の中には、LD50値が、上記のような精油の数十分の1以下(毒性が数十倍以上)というものもあります。

精油を一定以上飲むと死亡するのは事実ですが、これは精油という物質自体が私たちの身の周りにある他の物質と比べて、特別に危険性が高いものであるというわけではありません。どのような物質であっても、口から一定以上の量が身体に入ると毒性を発揮します。たとえば、塩は人体にとって不可欠ですが、一度に大量に摂取すると死んでしまいます。毎日口にするお醤油も、コップ数杯を一度に飲むと、命に危険が及びます。食用酢の場合は、約4リットル、コーヒーは100杯程度で、致死量に相当する酢酸やカフェインが体内に入るとされています。精油の場合は、非常に凝縮された液体であるため、身体に害が及ぶ量が、身の回りにある他のものと比べて、相対的にかなり少ないということです。コーヒーを一度に100杯飲むというのは、ほとんど不可能ですが、精油の場合は、命に危険が及ぶ量が、口から体内に入ってしまうことも、物理的に十分可能ということです。

時々テレビや雑誌などで、「○○の精油を紅茶に数滴入れて飲むと、○○の症状が改善される」といったような精油の飲用法が紹介されることがあるようです。アロマテラピーに関わるものとして、マスコミの方には、こういう情報は絶対流して欲しくありません。上記でご紹介した、LD50の値を見て、数滴を飲むだけなら問題ないのでは?と思う方もおられるかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。例え命に別状はなくても、精油を口に入れた場合、身体に害を及ぼすことがあります。まず第一に起こりうるのは粘膜の損傷です。精油を口から入れると、種類によっては、口腔内や食道などの粘膜を著しく損傷して、大きなダメージを与える場合があります。また、体内に入った精油は、最終的に肝臓で代謝され、腎臓を経由して尿として排出されますが、一定以上の量の精油が体内にはいると、この過程で内臓に過度の負担をかけることがあり、健康を害する恐れもあります。精油の飲用法は大手のテレビ番組や雑誌などでも紹介されることがあるようです。酷い場合には、こうした情報を見て「精油というのは飲むものである」という危険な誤解をしてしまう方が実際におられます。マスコミの方々には、こうした無責任な情報を流すのは絶対に止めていただきたいと思います。



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精油は病気を治療する薬ではありませんので、心身の状態がすぐれないときは、すみやかに医師の診断を受けるようにしてください。
個人で行うアロマテラピーは、あくまで香りを楽しむことを中心とし、健康維持・予防医学的観点からの実践を心がけてください。


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